ポスドクの新たな就職口?

生態学がお金になる時代が来るのでしょうか?
3/15〜20に開催された日本生態学会に参加してきました。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の年だけに、生物多様性の評価についての発表が多くありました。生物多様性の評価には生物の長期モニタリングが必要となります。でも生物の長期モニタリングは、大学などの研究者に頼むには人数が少なすぎるし、業者に頼むにはお金がかかりすぎるし、ボランティアに頼むにはデータの精度にばらつきがでる、という問題点があります。そのため、博物館がその役割を果たせないか、という提案がありました。そして、博物館の生物モニタリングの職が、現在就職難が深刻となっているドクターの就職口とならないだろうか、という話でした。
生態学を研究する人は、少なくとも自然が好きなはずだし、その中のかなりの割合の人が、環境保全になんらかの形で貢献したいはずです。そういう私も、大学入学当時は環境保全を志していたことがあります(学部で衝撃的な出会いがあったので、志は変わりましたが…)。学部で志が変わらなかった人も、大学院では学術的に新奇性のある研究を目指さなくてはならないため、志を持ち続けることが難しいこともあります。また、業績として論文数が重視される今、短い期間では成果を出せない生物の長期モニタリングをすることは、ほとんど無理なことです。
もし、博物館でモニタリングの職ができるのであれば、大学院でも、就職を考えてモニタリングの研究ができるようになるかもしれません。そして、志を無理矢理変えることなく就職ができる幸せなポスドクが増えるかもしれませんね。